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福利厚生で注目される「給与住宅制度」のメリット・デメリット

人材確保や社員の定着に悩む人事担当者にとって、福利厚生の充実は欠かせないテーマです。特に近年注目されているのが「給与住宅制度」です。社宅・社員寮をはじめとする給与住宅制度は、社員の生活を支えるだけでなく、採用競争力を高める有効な施策として再評価されています。
給与住宅は、都市部の家賃高騰や転勤対応など課題解決に役立つ一方、税制上の扱いによってメリット・デメリットが大きく異なるため、制度設計には正しい知識が欠かせません。本記事では給与住宅の基本から非課税運用のポイントまで解説します。福利厚生制度の見直しや新規導入を検討する際の参考にしてください。
【目次】 「給与住宅」とは?「住宅手当」との違い
- 給与住宅とは?
- 「社宅・社員寮」「住宅手当」の違い
- なぜ「給与」という言葉が使われるのか?
- 福利厚生制度充実による人材確保・定着(採用競争力アップ)
- 転勤や勤務地変更への対応
- 都市部での生活支援
- 給与課税されないためには:「賃貸料相当額」の50%以上を徴収
- 社会保険上は「現物給与」となるため注意
- 予算の設定
- 運用ルールの設定
- 物件の選定
- エルプレイスシリーズの特徴
「給与住宅」とは?「住宅手当」との違い
企業の人事・労務担当や福利厚生を扱う部署であれば「給与住宅」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。一方で、この言葉は一般的な用語ではないため、詳しく理解はしていないという人も多いかもしれません。ここでは、「給与住宅」という用語についての説明と、給与住宅と同じく住宅補助制度として一般的な住宅手当の違いについて説明します。
給与住宅とは?
給与住宅とは、企業が社員に対して提供する住宅のことで、いわゆる社宅や社員寮、公務員宿舎や寄宿舎などのことを指します。会社が物件を借り上げて社員に転貸する「借上げ型」、会社が所有する物件を社員に貸与する「社有型」など、提供形態の違いは問いません。
給与住宅の目的は、社員の生活基盤を安定させ、安心して働ける環境を整えることです。 一般的にはあまり使われない用語ですが、人事・労務担当者の税務処理や住宅・土地統計調査、不動産用語辞典などで使用されます。
「社宅・社員寮」「住宅手当」の違い
給与住宅の代表的な制度である「社宅・社員寮」は、企業が社員に住居を提供する仕組みです。家賃の一部を会社が負担するケースが多く、適切に運用すれば社員・企業双方に節税効果や社会保険料の軽減が期待できます。さらに、「社員寮は単身者向け」「社宅は家族帯同も可能」など、利用条件は社内規定で定められます。
一方、「住宅手当」は会社が一定額を給与に上乗せして支給する制度です。社員は一般の賃貸物件から自由に住居を選べるため柔軟性が高い反面、手当は給与扱いとなるため課税対象となり、所得税・住民税や社会保険料の負担が増える場合があります。企業側は導入が容易で管理コストが低いというメリットがありますが、節税効果や社会保険料の軽減は期待できません。
出典:「住宅手当」ではなく「借り上げ社宅制度」を導入するべき3つの理由
なぜ「給与」という言葉が使われるのか?
「給与住宅」という言葉が使われるのは、企業による住居支援は税務上給与の一部として扱われるためです。というのも、税務上では「現物給与」という原則があり、これは「お金で支給しても物やサービスで提供しても、経済的利益があるなら給与として課税する」という考え方です。つまり、社宅や社員寮の提供も給与の一形態とみなされるため、課税対象か非課税かを判断する必要があります。
税務上の実務では、社宅や社員寮は給与の一部として扱われるため、「給与住宅」という用語が使われています。
給与住宅が注目されている理由
近年、給与住宅制度が再評価されている背景には、企業における人材確保や社員定着の課題が深刻化していることがあります。 特に都市部の家賃高騰や転勤対応など、社員が直面する住居の問題に対して、給与住宅制度は有効な福利厚生施策として注目されているようです。
福利厚生制度充実による人材確保・定着(採用競争力アップ)
人材不足が深刻化する中で、福利厚生の充実は採用競争力を高める大きな要素となっています。給与住宅制度は「住居支援」という分かりやすいメリットを提供できるため、応募者にとって魅力的に映りやすく、入社後の定着率向上にもつながります。企業にとっては、採用活動の差別化を図るうえで効果的な施策といえるでしょう。
転勤や勤務地変更への対応
全国展開している企業では、社員に転勤が発生するケースも少なくありません。給与住宅制度を導入しておくことで、物件探しの手間や家賃負担を抑えられる可能性があります。その結果、社員が安心して異動に応じやすくなり、企業側も柔軟な人員配置を進めやすくなるでしょう。
都市部での生活支援
東京や大阪などの都市部では年々家賃が高騰しており、特に所得がまだ高くない若手社員にとっては大きな負担となりやすい状況があります。給与住宅制度を導入することで、社員の家賃負担を抑えられる可能性があります。こうした支援は、地方から都市部へ就職・転勤を希望する社員にとって生活の安定につながり、安心して働ける環境づくりに役立つ施策として注目されています。
給与住宅によるメリット・デメリット
給与住宅制度は社員と企業の双方にメリットをもたらす可能性があります。一方でデメリットも存在するため、導入にあたっては双方の利点と課題をバランスよく検討することが重要です。
| 社員側 | 企業側 | ||
| メリット | デメリット | メリット | デメリット |
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「給与住宅」を非課税で運用するために必要な準備
給与住宅の税制上のメリットを享受するためには、税務上のルールを正しく理解しておくことが重要でしょう。原則として、「住宅手当」は課税対象となるため、住宅支援制度を非課税で運用するためには社宅や寮制度の導入が必要となります。そのうえで必要な条件として、代表的なものに「賃貸料相当額の50%以上を社員から徴収すること」が挙げられます。加えて、社内規定を整備し、利用条件や賃料負担割合を明確にしておくことが望ましいでしょう。これらを満たすことで、税務上のリスクを回避しつつ、社員にとって魅力的な福利厚生制度として運用できます。
給与課税されないためには:「賃貸料相当額」の50%以上を徴収
給与住宅を非課税で扱うためには社宅・社員寮制度を導入したうえで「社員から賃貸料相当額の50%以上を徴収する」ことが条件とされています。これを満たさない場合は超過した分が給与とみなされ、所得税・住民税などの課税対象となるため注意が必要です。
「賃料相当額」とは、賃貸契約書に記載されている家賃ではなく、国税庁の定める以下の計算式で算出された合計額を指します。
- (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×2%
- 12円×(その建物の総床面積(㎡)/3.3㎡)
- (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×22%
固定資産税の課税標準額は「固定資産税の課税明細書」や「固定資産課税台帳」「固定資産評価証明書」などで確認が可能です。借上げ型の社宅や寮の場合は、賃貸住宅の所有者や不動産仲介会社に確認する必要があります。なお、役員住宅における課税基準は上記と異なるため注意が必要です。
出典:国税庁タックスアンサー No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
社会保険上は「現物給与」となるため注意
先ほどお伝えしたとおり、社員から賃料相当額の50%以上を徴収していれば所得税・住民税の課税対象にはなりません。しかし、家賃から社員負担分を差し引いた残額は社会保険料(健康保険・厚生年金保険)や雇用保険料の標準報酬月額に反映される可能性があります。
標準報酬月額は、厚生労働省が定める「現物給与価額表」に基づいて計算されます。不適切な算定を行うと後に精算や修正が発生する場合があるため、専門家の意見を取り入れるなど慎重に確認することをおすすめします。
なお、社員の自己負担額が評価額を上回る場合は、その住宅分は現物給与としては扱われず、現金給与のみが標準報酬月額の対象となります。
給与住宅(社宅・社員寮)導入における運用フロー
給与住宅(社宅)導入のプロジェクトを成功させるためには、明確なフローと社内連携体制の構築が欠かせません。ここでは大まかな流れを確認していきます。
予算の設定
予算の設定を適切に行うことで、社宅・社員寮の導入および運用を円滑に進めることができます。家賃や管理費などの基本的な経費に加え、専門家へのコンサルティング料、災害や設備トラブルへの対応費用、急な空室時に発生する空家賃など、予期せぬ出費に備えた予算を検討しておくことが望ましいでしょう。さらに、節税手法や優遇制度を活用する方法を取り入れることで、費用面の負担を軽減できる可能性があります。
運用ルールの設定
次に、入居条件(全社員、若手社員、転勤者、単身赴任者など)や使用料、負担方法などを明確にする必要があります。これらを詳細に記載した社宅規程を整備し、全社員に周知徹底することが重要でしょう。規程がない状態での運用は「恣意的な運用」とみなされ、税務調査で否認されるリスクを高める可能性があります。
加えて、社宅規定で定めた内容を適切に運用するためのフローを策定し、社員への説明を行うことも欠かせない準備です。
物件の選定
社宅や寮の効果を最大化するためには、単に住居を提供するだけではなく、勤務地へのアクセスや駅までの交通利便性、治安、物件の種類(広さや間取り)、災害リスク、セキュリティ対策などを考慮することが大切です。社員が安心して生活できる環境を整えることが、制度の魅力を高める要素となるでしょう。さらに、社員同士のコミュニケーションを深める目的がある場合には、共有スペースが充実している物件を選ぶことも有効な選択肢となり得ます。
出典:人事担当者のための3ステップ 借り上げ社宅制度の導入ガイド
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