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「転勤離職」を防ぐ福利厚生戦略

近年、ワークライフバランスを重視する方や転勤を前提としない働き方が増え、
転勤をきっかけに仕事を辞めてしまう「転勤離職」が増加しています。
本コラムでは、転勤離職を引き起こす要因や、
転勤離職を防ぐための具体的な施策について紹介します。ぜひ参考になさってください。
転勤離職の要因
転勤離職の主な要因として、近年の社会背景と従業員個人の悩み・不安があげられます。
社会背景
①仕事よりプライベートを重要視
仕事だけでなくプライベートの時間を充実させたいという考え方や、
育児や介護などライフステージに合わせて多様な働き方の実現を求める声が増加しています。
②リモートワーク普及に伴う転勤への抵抗感
リモートワークなど働き方の選択肢が増えたことにより、
特定の場所に拠点を置く必要性が低くなり、転勤への抵抗感が高まっていると言えます。
従業員の悩み・不安
コミュニケーション不足の課題
- 転勤についての社内サポートが不足している
- 転勤先に仲の良い人がいないため馴染めるか不安
将来の見通しの不透明感
- 転勤の必要性がわからない(リモートワークの活用などによる代替え手段はないのか等)
- 転勤が自身のキャリアにどう影響するのかわからない
- 転勤の時期や期間等がわからず将来の見通しや生活設計を立てにくい
生活環境や家庭への影響
- 地域社会や文化への適応の難しさ
- 家族と離れ単身赴任になることへの不安
- 子育て・子どもの教育、持ち家の所有、介護など
- 転勤による生活費や経済的な不安の増大
転勤離職を防ぐには
転勤離職を防ぐには、これまでのような企業主導による転勤制度のあり方を見直し、
従業員の不安に寄り添う福利厚生施策を提供することが求められます。
転勤制度の見直し
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従業員へ配慮した支援
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転勤制度の見直し〈基本方針の再考〉
転勤の実態を把握し、自社にとって不可欠な転勤であるかを見極めたうえで、
自社の転勤に関する基本方針を再考しましょう。
転勤の目的の再確認
転勤制度の目的や期待する効果は何か(人材育成、組織の活性化、業務の効率化など)改めて明確にします。
転勤に関する状況確認
転勤に関する取り扱いのプロセスや費用、処遇との関係、従業員の事情や意向の把握方法などを確認します。また、転勤と仕事と家庭生活の両立に関する課題を明らかにします。
転勤の目的と効果の検証
目的で挙げた要素(適正配置、人材育成、昇進管理、組織活性化など)について、機能を果たしているのか検証します。
代替え手段の検討
テレワークの導入や現地採用など他の手段を取り入れることで代替可能かどうかや、代替手段が効率的であるか等を確認します。
転勤・異動全般の見直し
転勤以外の方法では代替が難しい場合、転勤の地理的範囲や異動の周期など、人事異動全般のあり方を見直し、転勤の基本方針を再考します。
転勤制度の見直し〈基本方針の例〉
転勤に関する基本方針の例です。各企業に合った運用方法を検討しましょう。
例①勤務地を限定しない方針の場合
- 転勤に関する対応や原則を従業員へ共有する
- 従業員の事情や意向を把握する仕組みをつくる
- 転勤対象者へ期間や本拠地に戻る可能性など適切な告知・説明の対応を行う
例②勤務地変更の有無や範囲で雇用区分を分ける場合
- 全国転勤、地域ブロック内の転勤、転勤のない雇用など雇用区分を設定する
- 雇用区分を雇用管理指針に基づいて運用する
- 処遇の均衡(賃金、昇進・昇格)を保つ
例③従業員が転勤の決定に関与する場合
- 本人の同意を得ることを条件とする
- 社内公募を行い希望者より転勤者を定める
- 従業員自らが希望する部署等へ転勤希望を行う
- 転勤の配慮義務を考慮する
従業員の不安に配慮した支援〈適切な説明〉
従業員へ転勤制度について説明する際は背景や目的、期待する役割を明確に伝え、
会社側のメリットだけでなく、従業員へのメリットも明確に打ち出すことで
転職者が抱えやすい将来の見通しへの不透明感を払拭します。
![]() キャリアの発展新しい勤務先やプロジェクトへの参加を通じて、従業員のスキルや経験の幅を拡げ、キャリアの発展に寄与します。異なる地域や部署での経験が、従業員の成長を促進します。 |
![]() 人間関係の構築異なるチームや部署のメンバーと協力する機会が増えます。これにより、広範な人間関係が構築され、ネットワークが拡大します。 |
![]() 新しい視点の獲得異なる地域や文化での仕事は、新しい視点やアプローチを学ぶ機会を提供します。従業員は柔軟性を高め、多様性に富んだビジネス環境に適応する能力が向上します。 |
従業員の不安に配慮した支援〈定期的なコミュニケーション〉
転勤対象者の事情を把握し配慮した上で丁寧な説明や支援を行い、
従業員が赴任先で安心して働けるように整備します。
対象従業員の家庭事情を配慮する
転勤により育児や介護が困難になる場合は育児・介護休業法第26条に基づいた配慮と注意が必要です。
異動前の情報提供強化
転勤計画や変更点について事前にコミュニケーションを行い、社員に安心感を与えます。
転勤時期や条件について従業員と対話する
条件等、企業側からの一方的な辞令ではなく、従業員へ要望や希望を聴取し対話を重ねた上で決定します。
柔軟な働き方制度の導入
週に1度はリモートワークとするなど、従業員のライフプランに合わせて希望する柔軟な働き方を整備します。
定期的なキャリアカウンセリング等の実施
転勤前はもちろん、転勤後もキャリアカウンセリングや労務相談など社員の疑問や不安に対応します。
従業員の不安に配慮した支援〈福利厚生施策〉
引越しサポートや各種手当、社宅制度などの福利厚生施策を実施し、
転勤者の生活環境や家庭への影響に対する不安を解消できる環境を整えます。
①転勤関連費用の施策
従業員が安心して転勤に臨めるよう、転勤に伴う経済的負担を軽減します
転勤に伴う各種支出の補助:下見休暇・赴任旅費・赴任交通費・転宅費用・赴任手当・赴任休暇など
赴任先の生活費の補填 :着後手当・転勤支度金・地域手当など
②住宅関連費用の施策
転勤による住居の変化や負担を和らげ、従業員の住宅環境の安定をサポートします
住居の提供による安定した生活環境:社宅・寮の提供など
住居にかかる負担の軽減 :家賃補助・留守宅の管理やメンテナンスなど
③別居(単身赴任)関連の施策
単身赴任者が仕事への集中や生活の安定を図れるよう、生活負担を軽減し健康をサポートします
別居(単身赴任)関連の補助:帰宅(省)旅費・単身赴任(別居)手当など
単身赴任者の健康サポート :スポーツジム利用券・食事補助など
まとめ
引越しの伴う異動は、従業員の生活に大きな影響を及ぼし、離職率の増加につながる課題があります。
従業員の生活と仕事の調和、キャリアの発展、安定した住居環境の提供に注力するなど、
総合的な福利厚生戦略を展開することで組織の強化と離職率の低減をめざしましょう。
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