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単身赴任者のリアルな声と社員寮活用|企業が知るべきメリットと運用のヒント

単身赴任はビジネスパーソンにとって新たな挑戦と成長の機会です。その一方で、住まい探しや生活環境の整備、人間関係の構築など、様々な課題に直面することも少なくありません。
企業の総務や人事担当者の皆様にとっては、単身赴任者の住環境を整えることは重要なミッションの一つでしょう。
本コラムでは、単身赴任者が抱える住まいの課題に焦点を当て、その解決策として注目されている「社員寮」の価値を深く掘り下げます。社員寮利用者の声や総務・人事担当者の皆様が社内提案で活用できるノウハウをご紹介します。
単身赴任者の住まい事情:なぜ「社員寮」が選ばれるのか?
単身赴任者の住まいの選択肢は、一般的に「賃貸マンション・アパート」「マンスリーマンション」「社員寮」の3つに大別されます。
近年、社員の満足度向上を重視する企業の間で、社員寮が再評価され、その数も増加傾向にあります。
国土交通省の「法人土地・建物基本調査」によると、法人が所有している「宅地など」の土地の件数のうち「社宅・従業員宿舎」の件数は平成30年は6.9万件だったのに対し、令和5年には8.2万件に増加しています。
出典:国土交通省「法人土地・建物基本調査」
単に住む場所を提供するだけでなく、新しい土地での生活をスムーズにスタートさせ、日々の暮らしの質(QOL)を高めるための様々なメリットが社員寮にはあるのです。以下に、その具体的なメリットを解説していきましょう。
メリット1:初期費用とランニングコストの削減
単身赴任者にとって社員寮を利用する最大のメリットはコスト削減です。賃貸マンションを個人で借りる場合、敷金・礼金・仲介手数料といった初期費用に加え、引越し費用や新生活に必要な家具・家電の購入費用が発生します。
一方で、社員寮を利用する場合、入居時にかかる費用はわずかな場合が多く、初期投資を大幅に抑えることができます。また、月々のランニングコストにおいても、社員寮の場合は家賃の全額または一部を企業が負担するケースが多く、社員個人の負担が軽減されます。
さらに、社員寮の中には共用スペースが充実している物件もあり、例えばフィットネスルームやコワーキングスペース、共用ランドリーなどを利用することで、外部のサービスを利用する費用を削減できます。このように、社員寮は単身赴任者にとって経済的なメリットが非常に大きい選択肢なのです。
メリット2:家具・家電付きで即入居可能
単身赴任生活の準備は、多岐にわたります。物件の選定、賃貸契約、ライフラインの開通手続き、そして家具や家電の購入・設置など、赴任までの限られた期間でこれらすべてをこなすのは大きな負担です。特に、新しい土地に不慣れな単身赴任者にとって、このような手続きは心理的なストレスにもなりかねません。
社員寮の多くは、ベッド、デスク、収納家具といった基本的な家具に加え、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどの主要な家電が最初から備え付けられています。これにより、入居したその日からすぐに生活をスタートさせることが可能です。荷物は最小限で済むため、引越し費用も抑えられ、何よりも新生活の準備にかかる時間と労力を大幅に削減できます。
また、家具・家電付きの社員寮は、転勤の多い企業にとって特に有効です。数年ごとに異動がある場合、その都度引越しや家具・家電の購入・処分を繰り返すのは非効率的です。社員寮であれば、転勤時の手続きもスムーズになり、社員の負担を最小限に抑えることができます。
メリット3:セキュリティとプライバシーを確保
社員寮と聞くと、「大部屋でプライバシーがない」といった従来のイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし近年では、個室を完備するなど、プライバシーに配慮した社員寮も多く存在します。
また、オートロックや防犯カメラが設置され、管理員が常駐している社員寮は、不審者の侵入を防ぐだけでなく、設備のトラブル対応など、日々の生活における安心感を提供します。
単身赴任者は、慣れない土地での生活に不安を感じやすいものです。特に女性社員や帰宅の遅い社員にとっては、セキュリティ面に配慮された住環境は非常に重要です。社員寮の安心感は、単身赴任者が仕事に集中するための基盤となり、メンタル面での安定にも貢献します。
メリット4:新しいコミュニティと人間関係の構築
単身赴任者が直面する課題の一つに、「孤独感」が挙げられます。家族や友人から離れ、慣れない土地での生活は、精神的なストレスが生まれやすいものです。この課題を解決する上で、社員寮が果たす役割は非常に大きいと言えます。
食堂やシェアラウンジといった共用スペースが設けられている社員寮では、入居者同士が自然に交流できる機会が生まれます。同じ会社や、時には異なる会社の人々と、仕事の話からプライベートな趣味の話まで、気軽にコミュニケーションを取ることができます。
社員寮は、単身赴任生活において「人とのつながり」を生み出す場として、重要な役割を果たします。
メリット5:健康的な食生活と家族の安心感
多くの社員寮では、朝食や夕食などの食事提供サービスが用意されています。栄養バランスの取れた食事を日常的に摂ることができるため、単身赴任者本人の健康維持に役立つだけでなく、遠方に住むご家族にとっても大きな安心材料となります。ご家族にとって、「きちんと食べているかどうか」は気になるところです。こうした不安を和らげる社員寮の食事サービスは、企業への信頼や満足度にもつながっていきます。
【単身赴任者の声】社員寮での暮らしについて
2024年に実施した法人向け賃貸社員寮「エルプレイス三田」の入居者アンケート結果を通じて、社員寮がどのように単身赴任者の生活に影響しているかを掘り下げていきます。
費用削減と利便性がもたらす生活のゆとり
アンケート結果では、入居してよかった点として「家具・家電が付いている」が最も多く挙げられています。この結果には、初期費用を大幅に削減できるだけでなく、赴任準備にかかる時間と労力を最小限に抑えたいという、多忙なビジネスパーソンのニーズをが反映されていると考えられます。
さらに入居者からは、「身近でバランスの良い食事を容易にとれる」「レベルが高いのに安い」といった、食事提供サービスに対する満足の声が多く寄せられました。このような食事が生活の一部となることで、食費の節約だけでなく、健康面での安心感にもつながります。また、「通勤が楽」という項目も上位に挙げられており、立地の良さが仕事の生産性向上に貢献していることがわかります。
安心感がもたらす精神的な安定
「管理員が常駐することで、期待すること」としては、「安心感」や「温かみ」が上位に挙げられています。また、「対応が早い」「いつも笑顔で親切」といった管理員の対応に関するコメントも寄せられており、人とのつながりが精神的な安心感を生み出していることがわかります。このような安心感は、単身赴任者が仕事に集中し、ストレスを軽減する上で不可欠な要素です。
社内提案で使える!社員寮活用のヒント
単身赴任者の住まい選びは、企業の福利厚生戦略にも深く関わるテーマです。ここからは、総務・人事担当者の皆様が、社員寮活用を社内提案する際に役立つデータと具体的なヒントをご紹介します。
総務・人事担当者が知るべき「社員寮活用のメリットと課題」
社員寮の活用は、単に福利厚生の一環としてだけでなく、企業の経営戦略としても大きなメリットがあります。しかし、その一方で、導入・運用にあたって考慮すべき点も存在します。
【メリット】
社員の満足度向上:快適な住環境は、単身赴任者の精神的な安定とモチベーション向上に貢献します。これにより、離職率の低下や生産性の向上も期待できます。
安全性の確保:高いセキュリティ体制と管理員による見守りは、社員の安全を守る上で重要な要素です。
【課題と解決策】
課題:「社員寮=古い」「プライバシーがない」といったイメージが払拭しきれていない場合がある。
解決策: 最新の設備やサービスを前面に押し出し、見学機会を設けるなどして、入居者本人が持つネガティブなイメージを払拭する働きかけが重要です。
課題:全社員のニーズに完全に合致するわけではない。
解決策:社員寮を唯一の選択肢とするのではなく、住宅手当や賃貸マンションなど、複数の選択肢を用意し、社員がライフスタイルに合わせて選べるようにすることが望ましいです。
単身赴任者の「理想の住まい」を実現するためのステップ
社員寮の導入や活用を検討する際に、総務・人事担当者が踏むべき具体的なステップを解説します。
【現状把握】
目的設定:なぜ社員寮が必要か?明確な目的を設定します。
ニーズ調査:社内の単身赴任者や転勤候補者に対し、住まいに関するニーズや不安をアンケートなどで調査します。
既存コスト分析:現在の住宅手当などにかかっているコストを詳細に分析します。
【情報収集・比較検討】
情報収集: 複数社の社員寮やサービス付きレジデンスの情報を幅広く集めます。本コラムのような事例やデータも参考にすることをお勧めします。
サービス内容比較:費用、立地、設備、食事、セキュリティなど多角的に比較します。
社内提案資料作成:収集した情報とコスト分析データを基に、社員寮活用のメリットを具体的な数値で示し、課題に対する解決策も盛り込んだ提案資料を作成します。
【導入・運用】
導入決定:経営層の承認を得て、導入を決定します。
社員への周知:新たな福利厚生として社員寮を導入する目的やメリットを丁寧に説明し、利用を促します。
効果測定:入居後の社員満足度やコスト削減効果を定期的に測定し、改善点があれば今後の運用に活かせるようフィードバックします。
まとめ:社員寮は単身赴任者のQOLと企業の生産性を高める戦略的ツール
単身赴任は、社員の暮らしや働き方に影響を与える大きな変化であり、企業にはその変化を支える体制づくりが求められます。
社員寮は、単なる寝食の場ではなく、生活の利便性向上、そして精神的な安定という、多面的な価値を提供する「戦略的ツール」へと進化しています。
企業の総務・人事担当者の皆様、この機会に賃貸社員寮という選択肢をご検討されてみてはいかがでしょうか。
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